キャンセルのイメージ写真

不動産業者が仲介に入り、売主と買主とで話を進めていく最中に、キャンセルになることがあります。

キャンセルせざる終えない状況になることもあれば、相手にキャンセルされることもあります。

では、キャンセルはいつまでできるのでしょうか?また、キャンセル料はいくらかかるのでしょうか?

このページでは、元不動産営業マンがこの件についてまとめました。

売主がキャンセルした場合と、買主がキャンセルした場合の両方を書いています。

不動産売買取引における3つのキャンセル

不動産の売買には、大きく分けて3つのキャンセルがあります。

  • 「購入申し込みの段階」でのキャンセル
  • 「売買契約締結後」から「手付解除期日」までのキャンセル
  • 「手付解除期日後」から「決済・引渡し」までのキャンセル

キャンセルをする時期によって、お金が発生したり内容が変わってきます。

では、それぞれのキャンセルについて、詳しく見ていきましょう。

「購入申し込みの段階」でのキャンセル

不動産売買の取引は、購入希望者の購入申し込みから始まります。

購入申し込み後、数日から1週間程度で「価格の交渉」、「売買契約の段取り」をします。

売買契約の前であれば、お互いキャンセルしてもお金は発生しません。

民法上、契約は「口約束」で成り立ちますが、不動産の契約は「宅建業法」という特別法が優先されます。

不動産の契約には、以下の行為が必要です。

  • 宅地建物取引士が免許証を提示し、買主に重要事項を説明して署名・捺印する。
  • 売買契約書に買主、売主両方が署名・捺印する。

これらの行為がなければ、契約は成立しないものとされています。

買主がキャンセルすることはある話ですが、意外と売主がキャンセルすることもたまにあります。

「売買契約締結後」から「手付解除期日」までのキャンセル

売買契約締結後のキャンセルは契約の解除となり、お金が発生してきます。

売買契約の際は、買主が売主へ手付金を支払うことが一般的です。

額の決め方は定められていませんが、売買価格の10%とすることが多いです。

なお、売主が業者の場合は、売買代金の20%までと決められています。

もしキャンセルする場合には、この「手付金の額」がキャンセル料になります。

買主がキャンセルする場合

買主がキャンセルする場合は、売主に支払った手付金を放棄することで、キャンセルできます。

このことを、「手付放棄」と呼びます。

売主がキャンセルする場合

売主がキャンセルする場合は、買主から受け取った手付金の額の2倍を、買主へ支払うことでキャンセルできます。

このことを、「手付け倍返し」と呼びます。

手付解除期日とは?

上記で紹介した「手付放棄」や「手付倍返し」のことをまとめて、「手付解除」と言います。

手付解除ができるのは、「相手が契約の履行に着手するまで」とされています。

つまり、相手方が契約書の内容を行動に移した場合は、もう既に手付解除ができない状態です。

しかし、契約の履行に着手しているかどうかの判断が難しいため、あらかじめ手付解除ができる期間を決めておきます。

これを手付解除期日と言います。

期日は、どのようにして決めるの?

期日の決め方は決められていませんが、東京都などでは月単位の期限を設定するように指導しています。

なので、1~2週間程度の短期の場合には、注意が必要です。

なお、売主が宅地建物取引業者で買主が個人の場合は、期限を設定すること自体が無効となります。

たとえ期限が設定されていたとしても、売主が契約の履行に着手してなければ、買主は手付解除をすることができます。

「手付解除期日後」から「決済・引渡し」までのキャンセル

「手付解除期日」から「決済・引渡し」までの間にキャンセルする場合は、違約金が発生します。

決済・引渡しに向けて準備しているときにキャンセルされてしまうと、何かしら損害が発生する可能性があります。

そうなれば損害賠償へと発展しますが、賠償額をめぐっての裁判になると面倒です。

それを防ぐためにも、あらかじめ売買契約で違約金の額を決めておきます。

額の決め方は定められていませんが、売買価格の20%とすることが多いです。

その違約金を支払うことによって、お互いキャンセル(契約を解除)することができます。

契約を解除しても、仲介手数料は発生する。

手付解除や違約金によるキャンセルの場合でも、不動産業者への仲介手数料は支払わなければなりません。

仲介手数料の支払い義務は、売買契約が成立した時点で発生します。

手付解除や違約金によるキャンセルは、売買契約が白紙になるわけではありません。

売買契約自体は有効であり、解除になるだけです。

したがって、仲介手数料を支払う義務があります。

相手からキャンセルされた場合は、手付金や違約金のなかから仲介手数料を支払うことができます。

それに対して、自分の都合でキャンセルした場合は、自分で負担することとなります。

 

以上、「不動産売買取引のキャンセル。期限はいつまで?違約金はいくら?」でした。

参考になれば幸いです。