住宅計算のイメージ写真

不動産は購入時に税金がかかるように、売却時にも、なにかと税金がかかります。

物件によっては、高額になる場合がありますので、事前に知っておきましょう。

このページでは、元不動産営業マンが、個人の不動産の売却にかかわる税金について語っていきます。

大きく分けて、4つの税金がある。

不動産の売却には、大きく分けて以下の4つの税金があります。

  1. 不動産譲渡所得税(利益がでた場合)
  2. 売買契約書の印紙税
  3. 登録免許税(抵当権抹消登記・住所変更登記などがあれば)
  4. 各種手数料の消費税

なお、一戸建てやマンション、土地といった不動産の種類による大きな違いはありません。

では、順番に見ていきましょう。

1 不動産譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産を売却(譲渡)することによって、利益がでた場合(所得)にかかる税金のことをいいます。

利益が出た分(譲渡所得)に対して、所得税と住民税がかかります。(分離課税)

つまり、買ったときよりも低い価格で売れたら、譲渡所得税はかかりません。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の計算方法は、以下の通りです。

譲渡所得税 = (①譲渡所得 – ②特別控除) × ③税率

では、この式にある「①譲渡所得」と「②特別控除」、「③税率」について、説明していきます。

①譲渡所得

譲渡所得とは、簡単に言うと「売却することによって得た利益」です。

計算式は以下の通りとなります。

譲渡所得 = 売却価格 – (購入価格 + 購入時の所費用 + 売却時の諸費用)

ただ単に売却価格と購入価格の差額ではなく、売却時と購入時の諸費用も経費として認められます。

購入時の所費用には、以下のようなものが当てはまります。

  1. 仲介手数料
  2. 売買契約書の印紙代
  3. 登記費用(登録免許税、司法書士等の報酬)
  4. 不動産取得税
  5. その他、購入するためにかかった費用

売却時の所費用には、以下のようなものが当てはまります。

  1. 仲介手数料
  2. 売買契約書の印紙代
  3. 登記費用(登録免許税、司法書士等の報酬)
  4. その他、売却するためにかかった費用

なお、購入価格が分からない場合は、「売却価格の5%」を購入価格にあてることができます。

これを言い換えると、「たったの5%」しか、購入価格にあてることができません。

②特別控除

特別控除とは、売却する不動産が一定の条件を満たせば、税金が控除される特例です。

特例は数種類ありますが、代表的なものは「3,000万円の特別控除」です。

マイホーム(居住用)を売却した場合は、特別控除として3,000万円を譲渡所得から差し引くことができます。

③税率

税率は、不動産を所有していた期間によって異なります。

売却した年の1月1日時点において、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」と言います。

所得税 住民税
長期譲渡所得(5年超え) 15.315% 5%
短期譲渡所得(5年以下) 30.63% 9%

2 売買契約書の印紙税

売買契約書は課税文書なので、印紙税がかかります。

印紙を購入して、売買契約書に貼り付けるかたちで、納税します。

印紙代は、不動産の売却価格によって異なります。

売却価格 印紙税
10万円超~50万円以下 2百円
50万円超~100万円以下 5百円
100万円超~500万円以下 1千円
500万円超~1,000万円以下 5千円
1,000万円超~5,000万円以下 1万円
5,000万円超~1億円以下 3万円
1億円超~5億円以下 6万円
5億円超~10億円以下 16万円
10億円超~50億円以下 32万円
50億円超 48万円

一般的には、売買契約書は「売主用」と「買主様」の2通が作成されます。

そして、売主は「売主用」に印紙を貼り、買主は「買主様」に印紙を貼ります。

印紙税を節税する裏技

買主は住宅ローンなどの関係から、売買契約書の原本が必要になりますが、売主はコピーでも問題ありません。

コピーだからといって、売買契約の効力がなくなることはありません。

買主が印紙を貼り付けた売買契約書のコピーをいただくことで、売主は節税となります。

節税したい場合には、そのような対応ができるか、不動産業者に相談してみましょう。

私が勤めていた大手不動産会社では、売買契約書を必ず2通作成することがルールになっていました。

大手は融通がきかないかもです。

3 抵当権抹消登記・住所変更登記などの登録免許税

抵当権抹消登記(あれば)

抵当権抹消登記は、不動産に抵当権が設定されている場合に該当します。

不動産を購入する際に、住宅ローンを組んだ場合には、抵当権が設定されています。

例え、住宅ローンを完済していたとしても、抵当権抹消登記をしない限り、登記簿から消えません。

不動産を売却して引き渡す前に、法務局で抵当権抹消登記をする必要があります。

その際、登録免許税として、1物件につき1,000円かかります。

例えば、一戸建てで「土地」と「建物」に抵当権がある場合は、2物件なので2,000円となります。

司法書士に依頼するのが一般的で、1万円ほどでやってくれます。

もちろん、自分ですることもできます。

住所変更登記(あれば)

過去に住民票を移動して、「現在の住所」と「登記簿の住所」が異なる場合には、住所変更登記が必要です。

なぜなら、住民票を移動しても、登記簿上の住所は自動的に変更されないからです。

不動産を売却するには、「現在の住所・氏名」と「登記簿上の住所・氏名」が同じでなければならないルールになっています。

抵当権抹消登記と同様、登録免許税が1物件につき1,000円かかります。

これも司法書士に依頼するのが一般的で、1万円ほどでやってくれます。

もちろん、自分でもできます。

4 各種手数料の消費税

不動産を売却する際の所費用のなかで、手数料関係には消費税がかかります。

代表的なものでは、以下のものがあげられます。

  1. 不動産業者への仲介手数料
  2. 司法書士への手数料(抵当権抹消登記や住所変更登記があればあれば)
  3. 金融機関への繰上げ返済手数料(住宅ローンがあれば)

1 仲介手数料

仲介手数料は、不動産業者に支払う手数料になります。

売却価格が400万円を超える場合は、以下の計算式になります。

売却価格 × 3% + 6万円

ほとんどの物件が400万円を超えますから、この計算式が当てはまります。

この仲介手数料に対して、消費税がかかります。

2 司法書士への手数料

抵当権抹消登記や住所変更登記などがあり、司法書士へ依頼する場合は、手数料がかかります。

それぞれ1万円程度の手数料でやってくれます。

その手数料に対しても消費税がかかります。

3 金融機関への繰り上げ返済手数料

住宅ローンの残りがある場合は、繰上げ返済をしなければ売却できません。

通常、繰り上げ返済をするには手数料がかかります。

金融機関により異なりますが、5千円程度です。

それに対しても消費税がかかります。

 

以上、「わかりやすい!不動産を売却するときにかかる4つの税金」でした。

税金はかかる場合と、かからない場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

参考になれば幸いです。