不動産業者に依頼して、不動産を売却する場合は、「仲介」と「買取」の2種類の方法があります。
私が不動産営業マンの頃は、「仲介」がほとんどでしたが、たまに「買取」もありました。
どちらともメリット・デメリットがありますので、自分に合った売却方法を選びましょう。
このページでは、「仲介」と「買取」の違いについて語りたいと思います。
まずは、不動産用語である「仲介」と「買取」の言葉の意味を、理解しておきましょう。
「仲介」とは?
「仲介」とは、売主の代わりに不動産業者が営業活動を行い、買主をみつけて売却する方法です。
不動産業者が売主と買主の間に入って、売買契約を結ぶことから、「仲介」と呼ばれています。
「買取」とは?
「買取」とは、売却するための営業活動を一切行わず、直接、不動産業者などの専門業者に売却する方法です。
業者が買取りをすることから、「買取り」と呼ばれています。
メリット・デメリット
どちらともメリット・デメリットがありますので、自分に合った売却方法を選ぶことが大切です。
以下は、「仲介」と「買取り」のメリット・デメリットを表にまとめました。
仲介 | 買取 | |
---|---|---|
売却価格 | 高い | 安い |
売却するまでの期間 | 遅い | 早い |
仲介手数料 | 有り | 無し |
瑕疵担保責任 | あり | なし |
住宅ローン特約による契約解除 | 可能性あり | なし |
資金計画 | 立てにくい | 立てやすい |
売ることを他人に・・・ | 知られる | 知られない |
この表を見ただけでは分かりづらいので、一つ一つ説明していきます。
売却価格
売却価格は、「仲介」の方が高くなり、「買取」の方が安くなります。
その理由は、不動産業者がどのようにして利益を得ているのか、その仕組みがかかわってきます。
仲介
「仲介」は、不動産業者が間に入り、売主から買主へ売却するので、相場の価格で売ることができます。
そして、不動産業者は仲介手数料を受け取り、利益を得ています。
買取り
それに対して、「買取」は、売主から不動産業者へ売却します。
その後、不動産業者はリフォームなどをして、再販して利益を得ています。
不動産業者は、利益を得るために、売主から安く買い取らないと話しになりません。
なので、一般的に「仲介」の6割程度の価格で買取ります。
例えば、単純に「仲介」の相場が2,000万円の場合は、「買取」の価格は1,200万円となります。
売主にとって、この金額の差はかなり大きいですよね。
だから、一般的には「仲介」を選ぶ方がほとんどです。
売却するまでの期間
売却するまでの期間は、「仲介」の方が遅く、「買取」の方が早いです。
仲介
「仲介」の場合は、不動産業者が営業活動を行って、買主を見つけなければなりません。
スムーズに買主が見つかったとしても、売却完了まで1~2ヶ月ほどはかかります。
買取
それに対して、「買取り」の場合は、不動産業者が買取りますので、数日から数週間程度で完了します。
安くても早く売って、現金を受け取りたい方は、買取の方が適しています。
仲介手数料
仲介手数料は、「仲介」の方は支払わなければならず、「買取」の方は支払う必要がありません。
「仲介」の場合は、不動産業者が仲介に入るため、仲介手数料が発生します。
それに対して、「買取」は不動産業者が直接買取るので、仲介手数料は発生しません。
ただ、「仲介」の方が売却価格が高いため、仲介手数料を支払ったとしても、手元に残る現金は多くなります。
ちなみに、仲介手数料は宅地建物取引法で上限額が決められています。
簡単に説明すると、以下の計算式がほとんどの物件に当てはまります。
売却価格 × 3% + 6万円
例
売却価格が2,000万円の場合は、以下の計算式となります。
2,000万円 × 3% + 6万円 = 66万円
この66万円に消費税を加算した額が、仲介手数料の上限額となります。
あくまで「上限額」なので、それ以下となることもあります。
瑕疵担保責任
瑕疵担保責任とは、不動産の引渡し後1年以内に、雨漏りやシロアリなどの、一般人が見抜けないような瑕疵(欠陥)が発覚した場合、売主は買主に対して損害賠償しなければなりません。(修理など)
また、買主が瑕疵(欠陥)の為に、契約の目的を達することができないときは、契約が解除になることもあります。
買主が個人の場合は、売主は瑕疵担保責任を負わなければなりません。(これは必ずではなく、契約内容によります。あまりにも古い物件の場合は、責任を負わない契約にするときなどもあります。)
それに対して、買主が不動産業者の場合は、売主の瑕疵担保責任が免除されます。
したがって、瑕疵担保責任に関しては、「仲介」よりも「買取」の方が有利となります。
住宅ローン特約による契約解除
買主が住宅ローンを使う場合は、まずは仮審査(事前審査)に通ってから、売主と売買契約を締結します。
その後、本審査があるのですが、悪条件がでたり金額の増額があったりすると、本審査に落ちる場合があります。
その為、予め売買契約書には、「本審査に落ちた場合は、契約を白紙にする」といった内容の特約を入れておきます。
「買取」の場合は、買主が不動産業者であり、住宅ローンで購入するわけではないので、住宅ローン特約はつきません。
売ることを他人に知られる
「仲介」の場合は、不動産業者が不動産を売るための売却活動を行います。
インターネットに掲載したり、新聞広告に掲載したり、チラシを配ったりなどです。
したがって、家を売ることや、いくらの価格で売ろうとしているのかなどが知られてしまいます。
それに対して、「買取」の場合は、営業活動を行うことなく不動産業者に売却しますので、知れ渡りません。
まとめ
「仲介」のメリットは、買取よりも高く売れることです。
それ以外は、買取の方がメリットがあります。
どちらが良いというものはなく、売主によります。
以上、不動産の売却方法の「仲介」と「買取」の違いでした。
参考になれば幸いです。