マイホームを売却した際に、譲渡所得を計算するには、売却価格から購入価格などを差し引きます。
譲渡所得 = 売却価格 – (購入価格 + 購入時の所費用 + 売却時の諸費用)
購入価格を差し引く際は、当時の価格ではなく、建物を減価償却しなければなりません。
例えば、当時の購入価格が2,000万円(土地1,000万円 + 建物1,000万円)だったとします。
この場合、「土地1,000万円」 + 「建物1,000万円 – 減価償却費」が、購入価格になります。
では、この減価償却費はどのように計算したらいいのでしょうか?
このページでは、元不動産営業マンが「減価償却の計算方法」を、ご紹介させていただきます。
減価償却の計算方法
減価償却費の計算方法には、「定額法」と「定率法」があります。
特に届出をしていない場合は、原則として定額法で計算します。
計算式は以下の通りです。
減価償却費 = ①取得価額 × 0.9 × ②償却率 × ③経過年数
この式に当てはめると、簡単に計算できます。
では、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
①取得価格
取得価格とは、不動産を取得したときの価格になります。
②償却率
償却率は、建物の構造によって異なります。
以下の表を参照下さい。
非事業用の住宅(マイホーム・セカンドハウスなど)
耐用年数 | 償却率 | |
---|---|---|
木造 | 33年 | 0.031 |
軽量鉄骨 | 40年 | 0.025 |
鉄筋コンクリート | 70年 | 0.015 |
例えば、木造一戸建ての場合は、償却率が0.031になります。
また、鉄筋コンクリートのマンションの場合は、償却率が0.015になります。
ちなみに、上の表の非事業用(マイホームやセカンドハウスなど)の耐用年数は、事業用の1.5倍で計算されています。
参考までに、事業用の耐用年数は以下の通りです。
事業用の住宅(賃貸マンションなど)
耐用年数 | 償却率 | |
---|---|---|
木造 | 22年 | 0.046 |
軽量鉄骨 | 27年 | 0.038 |
鉄筋コンクリート | 47年 | 0.022 |
③経過年数
経過年数は、不動産を取得してから売却するまでの年数になります。
経過年数に端数がある場合に、6か月以上は切上げ、6か月未満は切捨てることになっています。
例えば、経過年数が10年3ヶ月の場合は、10年に切り捨てます。
シミュレーション
例として、以下の木造一戸建てを減価償却してみます。
- 購入価格:2,000万円(土地:1,000万円、建物1,000万円)
- 購入時期:10年前
- 建物の構造:木造
計算式は、以下の通りとなります。
建物1,000万円 × 0.9 × 償却率0.031 × 経過年数10年 = 減価償却費279万円
計算すると、減価償却費は279万円になります。
したがって、譲渡所得を計算するための購入価格は、以下の通りになります。
土地1,000万円 + 建物1,000万円 – 減価償却費279万円 = 合計1,721万円
譲渡所得を計算する際は、この1,721万円を購入価格として、差し引くことができます。
以上、「不動産(マイホーム)の売却における減価償却の計算方法」でした。
参考になれば幸いです。