火災保険のイメージ写真

こんにちは!不動産ハッカーの管理人です。

賃貸住宅を借りたときに、当たり前のように加入させられた火災保険。

契約期間は1~2年が一般的で、忘れたころに契約更新の案内があります。

そこであなたは下記のような疑問が浮かんだのではないでしょうか?

「火災保険って本当に必要なの?」
「火事なんて起こさないし、保険料がもったいない。」
「火災保険って更新しなければならないの?」

結論から言いますと、火災保険に未加入の状態はNGです!

なぜなら、万が一火事を起こしたときに、貸主に対して数百万円から数千万円の多額な賠償責任を負う可能性があるからです。

人生を棒に振らないためにも、火災保険に未加入の状態は避けましょう。


ただ、不動産会社指定の火災保険は、保険料が必要以上に高いことがあります。

そのため、そのまま更新するのではなく、この機会に補償内容を見直したり、もしくは他社の火災保険に変更することで、安くなる可能性があります。

そこで、今回は賃貸の火災保険の更新・変更などについて詳しくお話しさせていただきます。

この記事を読むことで、今後、お得な火災保険を選んでいけると思います。

それではまいります!

1.火災保険に未加入の状態はなぜ危険?

火災保険に未加入の状態は、貸主だけでなく借主にとってもリスクが大きすぎます。

なぜなら冒頭でお話しした通り、万が一火事を起こしたきに、貸主に対して数百万円から数千万円などの多額な賠償責任を負う可能性があるからです。

あなたは多額な損害賠償を支払うことができるでしょうか?

その答えが「No!」であれば火災保険に加入しておかないと、もしものときに大変なことになります。


では、火災保険がどれほど重要なのか、補償内容を詳しく見ていきましょう。

火災保険は、下記の3つの保険がセットになっていることが多いです。

  1. 家財の火災保険
  2. 借家人賠償責任保険
  3. 個人賠償責任保険

主契約は「家財の火災保険」で、特約として「借家人賠償責任保険」や「個人賠償責任保険」などを付けるかたちが基本です。

このなかで、貸主にとって一番重要なのが「借家人賠償責任保険」であり、この特約をつけて欲しいがために、火災保険への加入を強制しています。

2-1.借家人賠償責任保険の重要性

借家人賠償責任保険とは、もし借主が火事を起こしたときに、貸主に対して損害賠償を補償してくれる保険です。

民法では、自分のミスで他人に迷惑をかけた場合は、それによって生じた損害を賠償しなければなりません。

しかし、火事を起こした場合は「失火の責任に関する法律(略して失火責任法)」により、重大な過失がなければ、損害を賠償しなくていいことになっています。

民法 第709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

失火責任法

口語訳:民法第709条の規定は、失火の場合には、適用しない。ただし、失火者に重大な過失があったときは、この限りでない。

条文:民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

重大な過失とは、例をあげると分かりやすいのですが、

  • 寝タバコで火事になった
  • 天ぷらを揚げている最中に、長時間その場を離れて火事になった

など、「それをやったら火事になるよね!」ってことが今までの裁判で認められています。

「それなら火災保険いらないよね?」と聞こえてきそうですが、 しかし、賃貸の場合は、賃貸借契約の内容により賠償責任を負うことになります。


賃貸借契約では「借りた部屋を返すときは、借りたときの状態に戻して返さなければならない。」という原状回復義務があります。

この原状回復義務により、火事で部屋が焼けた場合は、借りたときの状態に戻さなければなりません。

もし原状回復ができなければ、債務不履行により賠償責任を負うことになります。

原状回復するには、火事の状況にもよりますが数百万円から数千万円の費用がかかるケースもありますので、火災保険に入っていないとリスクが大きいです。

2-2.家財の火災保険の重要性

家財の火災保険とは、家具・家電・衣類などが火事で焼けた場合はもちろん、天災や盗難被害にあった場合などにも補償してくれる保険です。

例えば、隣人が火事を起こし、あなたの家財も全焼したとしましょう。

この場合、隣人に家財を弁償してもらいたいところですが、失火責任法により、隣人に重過失がなければ弁償してもらえません。

自分の家財は自分で買い揃えなければならず、そんなときに役立つのが「家財の火災保険」です。

目安として「大人一人当たり300~400万円相当の家財を持っている」と言われています。

貯金があれば家財を揃えて新生活をスタートさせることができますが、貯金がなければ家財の火災保険に加入していないとリスクが高くなります。

2-3.個人賠償責任保険の重要性

個人賠償責任保険は、個人が日常生活において偶然に起こした事故により、他人に法律上の損害賠償責任を負ったときに補償してくれる保険です。

例えば、下記のようなケースが対象になります。

  • ベランダから植木鉢を落として、通行人にケガをさせた。
  • 外出中に洗濯機のホースが外れて水漏れし、下階の部屋を水浸しにした。
  • 自転車で歩行者に接触し、ケガをさせた。

賃貸住宅に関わる事故だけでなく、日常生活においての事故も対象になります。

また、ひとつの契約で家族全員を保証できるものもあり、その場合、自分の子どもが事故を起こしたときにも役立ちます。

2013年には、子どもが自転車事故を起こして相手方が意識不明になり、親に約1億円もの賠償を命じる判決がでました。

そんな時に役立つ保険であり、保障額は1億円以上あると安心です。


以上、火災保険には上記の3つの保険がセットになっていることが多く、もしものときの多額な損害賠償を補償してくれる内容になっています。

したがって、自分のためにも、火災保険に未加入の状態はNGなのです。

ただ、不動産会社の火災保険は、必要以上に保険料が高いことがありますので、注意が必要です。

3.不動産会社の火災保険料はなぜ高い?

不動産会社の火災保険料が高い理由は、下記の2つがあります。

  1. 保険料に不動産会社のマージンが含まれている。
  2. 必要以上の保障額がついている。

不動産会社は損害保険の代理店を行っているケースが多く、その場合、火災保険料には不動産会社のマージンが含まれています。

相場は火災保険料の約30%で、高いところは50%なんてこともあります。


また、火災保険は本来、借主の状況にあった保障額を提案すべきですが、不動産会社がそこまでせずに「ザックリとしたプラン」を提案しているケースが多いです。

たとえば、「1R~1LDKは2年契約で2万円のプラン、2K~2LDKは2年間で3万円のプランね!」みたいな感じです。

この場合、補償内容を見直したり、他社の保険に変更することで、保険料を安く抑えることができるケースがあります。

4.火災保険料を安くするポイント

現在加入している火災保険の保険証券をみて、必要以上の補償内容になっていないか見直しをしてみましょう。

保障額を変更したり、不要な特約を外すことで、保険料が安くなります。

4-1.借家人賠償責任保険の見直しポイント

借家人賠償責任保険は、火事で焼けた部屋を元通りにするときに役立つ保険で、保障額が500万円から2,000万円くらいで設計されている商品が多いです。

貸主のための保険なので、保障額については不動産会社に確認すれば指示があるはずですが、明らかに高いケースもありますので注意が必要。

参考までに、私が借りているマンション(2LDK・約58㎡・築25年)の保障額は、不動産会社の許可のもと1,000万円にしています。

保障額について下記の記事も参考になります。

Yahoo!知恵袋:借家人賠償責任保険の、保険金額について、教え・・・

ちなみに、都道府県民共済の火災保険の場合、下記の表のように「保障額や建物の構造」によって保険料が変わってきます。

保障額 保険料(年間
木造 鉄筋コンクリート
500万円 2,000円 4,000円
1,000万円 1,000円 2,000円

※保障額は500万円か1,000万円のどちらかになります。

4-2.家財の火災保険の見直しポイント

家財の火災保険は、「もし、自分が家財をもう一度買い直すとしたら、いくら必要なのか?」を考えてみましょう。

参考までに、下記の表は家財の目安を家族構成別・年齢別にまとめられたものです。

独身だと家財を約300万円分持っていることが目安とされています。

家財保険の目安

(出典:損保ジャパン日本興亜「THE すまいの保険」)

上記の表はあくまでも目安であり、もちろん人によって家財の量は違います。

「家財は100万円分しかないよ!」という方であれば、保障額を100万円にすることで保険料が安くなります。

ちなみに、都道府県民共済の火災保険は、下記の表のように保障額を100万円単位で設定できるようになっています。

保障額 保険料(年間
木造 鉄筋コンクリート
100万円 800円 480円
200万円 1,600円 960円
300万円 2,400円 1,440円
400万円 3,200円 1,920円

※限度額は一人につき400万円までになります。(例:家族が2人の場合は800万円までです。)

この家財の火災保険は借主のための保険であり、極端に言えば貸主には関係のない保険です。

したがって、借主が保障額を自由に設定することができます。

4-3.個人賠償責任保険の見直しポイント

個人賠償責任保険は、自動車保険の特約やクレジットカードなどで無意識のうちに加入しているケースがありますので、今一度確認してみましょう。

加入している場合は重複するため、火災保険で特約として付ける必要はありません。

保障額は1億円以上あると安心で、できれば3億円ほしいところです。

1億円から3億円にアップしたとしても、保険料は年間200円ほどしか変わりません。

5.火災保険を変更するならどの保険会社がオススメなの?

火災保険でおススメなのは、都道府県民共済の火災保険(火災共済)です。
私も現在加入しています。

共済は、そもそも「組合員の助け合い」で成り立つ非営利事業のため、保険料が安いです。

さらには、毎年の決算で利益がでたときに、その分、加入者に返金する「割戻金(わりもどしきん)」という制度がありますので、保険料がさらに安くなります。

では、保険料がいくらになるのかシミュレーションしをてみましょう。

今回は、ワンルーム一人暮らしを例に、下記の保障額で計算してみました。

  • 家財:300万円
  • 借家人賠償責任:1,000万円
  • 個人賠償責任:3億円

保険料は、賃貸住宅の構造(鉄筋コンクリート造や木造など)によって差があります。
木造よりも鉄筋コンクリートの方が安くなります。

種類 保障額 保険料(年間
鉄筋コンクリート 木造
家財 300万円 1,440円 2,400円
借家人賠償責任 1,000万円 2,000円 4,000円
個人賠償責任 3億円 1,680円 1,680円
合計 5,120円 8,080円
  • ※家財の保障額は「100万円単位」で選ぶことができます(一人当たり400万円が限度)。
  • ※借家人賠償責任は「500万円」か「1,000万円」のどちらかを選ぶことができます。

保険料は上記の金額ですが、さらに、毎年戻ってくるお金(割戻金)がある場合があります。

私の場合、平成27年度は、家財と借家人賠償責任保険の保険料(年間)の約30%が返金されました。

もし、割戻金が30%の場合、保険料の実質負担額は下記のようになります。

鉄筋コンクリート 木造
保険料(年間) 5,120円 8,080円
割戻金(30%の場合) -1,032円 -1,920円
実質負担額 4,088円 6,160円

 

鉄筋コンクリート造で年間3,584円、木造でも年間5,616円だったら、安い方だと思います。

デメリットとしては、借家人賠償責任保険の上限が1,000万円までしかありません。

もし、不動産会社が1,000万円以上を指定する場合は、他の保険会社を選びましょう。

その場合、日新火災の「お部屋を借りるときの保険」もおすすめです。

公式サイトにて簡単見積もりができます。

ちなみに、下記の条件だと保険料(年間)は6,000円になります。

  • 家財:300万円
  • 借家人賠償責任:2,000万円
  • 個人賠償責任:1億円
  • 修理費用:300万円
  • 被害事故法律相談費用等:30万円

まとめ

今回は火災保険の更新・変更についてお話しさせていただきましたが、いかがだったでしょうか?

火災保険に未加入の状態はNGですが、補償内容を見直したり、保険会社を変更することで、保険料が安くなる可能性があります。

いま一度、保険証券を見て、保障額を確認してみましょう。